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産業用ソーラーカーポート
TM2 Dulight
〈ティーエムツーデュライト〉

  • K.K
    製品開発課
  • M.T
    開発部 部長

既存架台を応用した
製品開発の始まり

2050年カーボンニュートラルの実現に向けて社会的な働きかけが活発になる中、太陽光発電の普及をこれまで以上のスピードで進めることが、当社の最重要課題であると考えています。
普及の手立てとして、施設の屋上防水の上、壁面、駐車場など、太陽電池モジュールの設置に対して技術面・コスト面・法規制面の課題を抱えている空きスペースの有効活用に取り組んでいます。そのような流れの中、他メーカーと共同の上、ソーラーカーポート「Dulight(デュライト)」の商品化への挑戦が始まりました。Dulightの開発秘話はこちら
開発が進む中、当社の代表取締役社長・伊藤からとあるオーダーが舞い込みました。それは、当社独自開発の地上設置架台「NEH-TM2」の技術を応用したカーポートが作れないかというもの。NEH-TM2は2014年に販売を開始した地上設置向けの架台で、杭基礎の施工誤差を吸収できる調整機構を持つとともに、太陽電池モジュールの縦置き・横置きのいずれにも対応できる設計の柔軟性を備え、設備容量約2GWにも及ぶ豊富な実績を有しています。すでにソーラーシェアリング※にも活用されており、決して不可能な話ではありませんでした。ここからNEH-TM2の技術を活かした、ソーラーカーポートの開発がスタートしたのです。
※農地に支柱を立て、上部空間に太陽光発電設備を設置し、農業と発電事業を同時に行うこと。
▲ 3次元傾斜対応地上設置架台「NEH-TM2」(左)と設置イメージ(右)

何度も試験を繰り返し
最適な答えを導き出す

もともと開発を進めていたDulightは、企業の敷地に設置する産業用だけでなく、一般家庭向けの商材でもありました。そこに求められるのはカーポートとしての“意匠性”です。
今回の新しいカーポート、のちに「TM2 Dulight(ティーエムツー デュライト)」と名付けられるこの製品は、完全に産業向けとし、極限まで導入コストを削減した“事業性”を追求しました。
ベースは既存のNEH-TM2ですが、メガソーラーなどの地上設置の場合と駐車場への設置とでは、用途も環境も全く異なります。カーポートとして使用するには、新規部材の開発が必要でした。そこで、試作と耐荷試験機による性能評価を幾重にも実施し、理論値と実験値を比較した上で最適な設計を行いました。
「構造計算上での理論値と、実際の試験結果とで食い違いが発生したときに、それをどうするかを考えて最適解を導き出す。限られた開発期間の中でかなり苦労した点ですね。」
加えて事業性の追求のためには、製造コストを最小限に抑えることがカギとなります。無駄のない設計のためにシミュレーションを何度も行い、部材の高さや厚み、重心などの最良な値、更には、施工可能な部材の長さや重量、部材の共通化による在庫管理の効率化をも考慮しつつ模索しました。

お客様の声から
見えてきたもの

2020年12月、正式な販売開始に先立ち、プレ販売を開始。実際にお客様に提案することで、様々な要望が見えてきました。
「当初想定していたTM2 Dulightの柱と柱の間隔は5,250mmの1タイプのみでした。しかし、駐車場の白線間隔はまちまちだったのです。また産業向けの大きな駐車場では、背合わせタイプの駐車場が多いことも分かってきました。」
その他にも、カーポートを設置する際に駐車スペースを減らしたくないという要望もあり、これらを踏まえた上で、改良版の製作を進めることとなりました。
柱間のピッチを50mmごとに5,000~5,500mmの11通りに増やし、場所によって異なる白線位置に合わせて設置できるようにしました。また駐車場タイプを、背合わせを含む8通りにし、さらに積雪や風速の気象条件に合わせた2つの仕様を追加しました。これにより実に88通りもの設計バリエーションが可能となったのです。
これらを可能にしたのが、地上設置架台NEH-TM2用に独自開発された自動構造設計ソフトです。このソフトがなければ、88通りもの設計バリエーションを実現することは難しかったといえます。
お客様のニーズを瞬時にくみ取り、きちんと体現する。その裏には、当社が長年培ってきたノウハウと経験が息づいています。

唯一無二の
製品となるために

再生可能エネルギーが真の意味で普及する、すなわち「当たり前に選ばれるエネルギーになる」ために、必ずクリアしなくてはならないのがコスト面です。TM2 Dulightにおいても、低コストの追求は引き続きのミッションとなります。
「当社は長年の経験から杭基礎工法に強みを持っており、TM2 Dulightも杭基礎で施工をしたいと思っています。杭基礎はコンクリート基礎に比べ、大幅なコストカットが見込めるのです。」
しかしその当時、ソーラーカーポートの杭基礎工法は前例がなく、国からの認可を待つことになりました。令和3年4月27日付で、内閣府から規制改革のお知らせがあり、杭基礎工法であっても建築基準法上の基礎として採用可能という旨の通知が、令和3年7月までに国土交通省からなされることになりました。これにより、コスト面でも大きく躍進できる希望が見いだせたのです。
同時に、当社ではリモコン操作で杭の自動鉛直制御と打ち止まり制御ができる、無人の自走式杭打機の開発を進めています。完成すれば工事にかかる時間や人員を削減でき、コストカットが可能となります。無線の杭打機は日本ではまだ普及しておらず、ヨーロッパから機器を取り寄せ、安全性に考慮しつつ設計を行っている段階です。
杭基礎工法が認可され、自走式杭打機が完成すれば、当社が再生可能エネルギーの普及の最良・最短手段と考える、自家消費型太陽光発電システム導入を加速させることが可能となります。当初想定していなかった形でスタートした、TM2 Dulightの開発プロジェクトですが、必ず良いものを作りだすという強い意志と、当社の柔軟な開発体制、そして何よりこれまで培ってきた多くの実績によって、実を結ぶことができました。
今後は自家用車だけではなく、トラックやバスなど大型車の駐車場に対応できる製品の開発も進めていく予定です。