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産業用蓄電システム
REVOLZA(レボルザ)

  • S.I
    蓄電技術部 部長

蓄電システムの
日本市場への普及

かねてより準備を進めていた産業用蓄電システムの開発プロジェクトが、本格的に動き出したのが2020年秋頃。中国の大手サプライヤーと共同で開発が進む、のちに「REVOLZA(レボルザ)」と命名された蓄電システムが市場に出回るまでには、数多くの困難がありました。
当社では、住宅向け蓄電システムの開発はすでに手掛けていましたが、産業用は初めての試みでした。
REVOLZA開発の第一歩は、まず蓄電池単体だけでなく、パワーコンディショナや連系盤など、構築するシステム全体を把握することでした。しかし当時、それぞれの機器単体の担当者はいるものの、全体を把握している人間がいない状況でした。
「まずはキーマンを抑えて、コネクションを築くところからスタートしました。営業担当と連携して、中国サプライヤーからシステム全体の情報を取得できるように働きかけをおこない、情報収集を進めていったのです。当時は手探り状態でしたが、この情報が今のベースとなっています。前職の頃から人の特性をうまく生かした上で、コミュニケーションを図ることを心掛けていたのですが、それが今回も役立ちました。」

予想外の問題発生

紆余曲折ありながらも、2020年10月になんとか試験機が完成。しかし、ようやく完成に近い形までもっていけた矢先に、予想外の事態が発生しました。
いざ試験機を動かしてみると、サプライヤーに依頼していた動作と異なっていたのです。日本市場に合わせた形でオーダーしたものの、どうしても中国企業との認識の差が発生してしまったことが、要因となりました。
時間の都合上、当社が巻き取り対応することとなったのですが、ここから驚異的なスピードで対応をすることになりました。まず、わずか2週間程度で、当初想定していた内容で仕様書を作成。それを元に、中国サプライヤーが通常半年程度はかかる作業を、一か月半ほどで仕上げてくれました。
「当初は本当にどうすれば良いか分からず絶望していましたが、このやりとりの中で思いがけず誕生した『スケジュールモード』が、今日本のお客様に好評です。不幸中の幸いですね。」
▼「スケジュールモード」動作イメージ

人を動かすということ

サプライヤーは中国企業なので、担当者も当然中国の方。正しいコミュニケーションを図るために日本法人に足を運び、顔を突き合わせて話をすることもしばしばありました。
「担当ではない方もアイデアを一緒に考えてくれたりもして、電話やオンライン会議ではカバーしきれない部分を直接会いに行くことで助けてもらっていましたね。新型コロナウイルスが一度落ち着いた時期だったこともタイミングが良かったです。一度顔を合わせることで、その後の関係性も築きやすくなりました。」
コミュニケーションを取るうえで、個人のカラーをきちんと見極めることが重要なポイントのひとつ。その点では国籍はあまり関係ありません。
「個性を知り、全体を俯瞰してみることで各々が最適な動きができるようにすることが、自分の役割であると感じていました。」

日本メーカーが
提供することの意味

様々な困難の末、ようやく2021年秋より出荷を開始することができました。とはいえ、販売直後の製品と切り離せないのが、設置後の予期せぬ不具合です。
ある日、REVOLZAを設置いただいた企業様先で機器のトラブルが発生しました。すぐに説明と謝罪を兼ねて企業様を訪問し、当社の営業担当も含め、それぞれがきちんと自身の担当パートの説明を行いました。その結果、先方より「ネクストは日本の市場に関してよく考えてくれているから、今後も付き合っていきたい」という強いお言葉を頂くことができました。
原因分析の上、対応策を出し、水平展開していく――。これはどのような製品開発においても必ず丁寧に対応するべき部分です。やるべきことをきちんとし、真摯に向き合っていくことで、技術力はもちろん、日本メーカーが提供することの安心感をお客様に持っていただくことができます。REVOLZAのような大型蓄電システムは、今後大手企業のBCP対策や、地方自治体向けに設置されることが想定されるため、安心して使うことができるという点は最重要ポイントとなります。
▲REVOLZA設置イメージ
「仕入れたものの仕様をそのまま鵜呑みにせず、社内で独自に検証をして仕様を作り直すことが、我々日本企業が介在する価値になると思います。例えば、元の仕様だとこれだけの設置スペースを確保すれば大丈夫、となっているものでも、独自の検証でもっと余裕のあるスペース確保が必要であると判断すれば、仕様書も作り替えます。もしかしたらお客様にとっては元の仕様より手間のかかるものになってしまうかもしれません。しかし、5年後、10年後に必ず差が出てきます。長期スパンを見据えて、自信をもった製品をお届けできるように、そして日本において蓄電池の市場がさらに前進するように、尽力していきたいと思います。」

社会的責任を
果たす上での蓄電システム

環境省は2022年度の重点施策として、「地域脱炭素移行・再エネ推進交付金」を新設することを決定しました。今後ますます企業や地方自治体が社会的責任を果たすために、再生可能エネルギーの導入に本腰を入れていくことが予想されます。
この潮流の中、次なる目標としてはREVOLZAに「並列運転」の機能を追加し、実装していくことです。並列運転が可能となれば、工場や企業オフィスなど、大規模な設備のニーズにも応えることができます。大規模施設であればあるほど、停電状態が継続することによる損害は計り知れません。
これらのリスクを回避するためにも、蓄電システムの存在はますます高まります。太陽光発電による自家消費が当たり前となり、何の不安や問題もなく自然エネルギーを活用できるようにしていくことが、REVOLZAが提供できる社会的価値となります。